注文住宅での節約で見落としがちなところが「素材、設備」です。
間取りの変更をするとムリが生じやすくなってしまったり、デッドスペースが生まれやすくなる危険性が高いです。
一方で、素材や設備は住宅性能や使い勝手など、快適性を損なわずにコストダウンができます。
ただし、グレードダウンをするだけでは失敗や後悔に繋がってしまうリスクもあります。
そこで、今回は素材と設備に絞って注文住宅で節約する方法をご紹介します。
すでに業者との打ち合わせが進んでいる方はもちろん、これから家造りを始めようと思っている方も、特に予算をなんとか抑えたいという方はぜひ参考にしてください。
目次
メーカーの標準仕様は避ける
まず第一に、メーカーの指定する素材や設備をそのまま受け入れないようにしましょう。
各メーカーは住宅性能や快適性に重きを置いて家造りを行う一方で、利益を出すために活動を行っています。
これ自体が悪いことではなく、利益がなければよりよい製品を生み出すことができませんし、従業員の生活もありますからね。
しかし、明らかに高すぎたり、必要以上の利益計上をしている場合も多いのです。
そしてメーカーも進んで値引き交渉をするほど困っているわけでもないので、質問や要望がなければ価格を下げることは基本的にしません。
そこでポイントになるのが、標準仕様です。
この言葉を聞くと、「標準だから変更できないんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかしこれは間違いで、注文住宅(特にフルオーダー住宅)では基本的に素材や設備の変更はできます。
これが建売であればその条件での契約になりますが、注文住宅では全く違うんです。
プラン変更という形で希望の素材や設備に自由に変更することができます。(※一部、セミオーダー住宅、規格住宅で出来ないものもあります。)
なので、予算オーバーになってしまったり、価格帯を少しでも落としたい場合はメーカー指定の標準仕様からの変更が効果的です。
メーカーによっては最新の設備を標準仕様に設定しているところもあるので、かなりのコストダウンが見込めます。
変更するプランにもよりますが、これだけで数十万円もの費用が節約可能です。
高い素材は最低限にする
デザイン性を一定に保ちつつ、コストを抑えるなら高い素材を最小限にすることがポイントです。
特にローズウッドやヨーロッパイチイなどの希少価値の高い素材は価格も非常に高いです。
また、家具などでよく使われているチェリーやオーク、ウォールナットなども住宅に取り入れようとする場合はかなりの費用になってしまいます。
そこで、ブナやパイン、シナなどの安い素材を中心にすると価格を抑えることができます。
木材はかなりの面積で必要になるため、こだわった分だけコストダウンさせることができます。
規模にもよりますが、トータルで200万円ほど浮かせることが可能です。
また、クロスや壁材など、広範囲に使用する素材を同じものにするだけで節約することもできます。
あちこち違う素材を使用していてはその分コストがかかってしまいます。
安くて品質のいい家を造るためには、使用する素材に統一性を持たせることも大切なことです。
ただし、安い素材ばかりを使ってしまうと、安っぽい仕上がりになってしまうおそれもあります。
しかし、高いものばかりを使用して作り上げたとしても、快適性が高いかは全く別の問題です。
大切なのはメリハリをつけることです。
統一した素材を使用しつつ、ポイントになるところで高い素材を使用することでシンボル的な効果を発揮することができます。
そのバランスを保つことを第一に考えてコーディネートすることが安くておしゃれな家造りには欠かせないのです。
量産品を使う
安い素材を選ぶ際、メーカーが量産している素材を選ぶことをおすすめします。
大手メーカーの場合は自社で、中堅業者の場合は契約している工場で木材の加工を行っています。
そのため、量産品を主材料に選ぶとコストを抑えることができます。
もちろん、標準仕様とされている材種が量産されているケースがほとんどですが、中には価格帯に合わせて量産している材料もあるので、しっかりと担当者に確認を取ることが大切です。
また、いくら安い素材とは言っても、現代の住宅では安全に配慮した家造りのニーズが非常の高いです。
そのため、価格が安くとも品質に優れている素材が増えてきていることも事実です。
独自性は損なわれてしまいますが、品質を一定以上に保ちつつ価格を抑えたいなら「量産品」を選ぶことをおすすめします。
無垢材選びでコストを下げる
床材や天井などの仕上げ材には、集成材と無垢材の2種類があります。
複数の板を組み合わせる集成材の方がコストを抑えることができます。
しかし、接着剤や加工で使用する原料など、健康に被害を及ぼす心配がされているため、どうしても無垢材を使用したいという方もいらっしゃると思います。
そこで、無垢材を取り入れるポイントは安い無垢材を選ぶことです。
無垢材の価格はピンキリで、高いものだと100万円以上かかるものもあります。
安い無垢材の特徴は、
- 節付きのものにする
- UNIタイプ(縦方向につなぎ合わせたもの)
ことで費用を抑えることができます。
1枚物の無垢材は非常に高いので、つなぎ合わせるタイプの無垢材がコストダウンには効果的です。
また、材種もオークなどの広葉樹よりも、スギなどの針葉樹の方が価格を安くすることができます。
材種と形状を合わせるだけでもかなりのコストダウンに繋がるので、無垢材選びは慎重に行うようにしましょう。
クロス、壁紙はシンプルなものを選ぶ
クロスや壁紙は盲点になりやすい部分ではありますが、かなりのコストダウンができるポイントでもあります。
注文住宅は平均価格自体が高いので、ここはあまり気にならないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
1㎡あたり数百円~数千円の違いになるため、住宅の価格と比べると「安い」と感じてしまいます。
しかし、クロスや壁紙は、住宅の中でも使用する面積が非常に大きいです。
基本的に床以外はすべてクロス、壁紙が必要になります。
100㎡必要だったとして、1㎡あたりの単価が、300円違うだけで30,000円も変わってきます。
これが1,000円の違いであれば100,000円も差が開くんです。
トータルのコストが2,000万円、3,000円と非常に高い注文住宅なので安く思われる方もいらっしゃると思いますが、実際の生活で見るとものすごい額ですよね。
注文住宅でコストを下げるポイントはココで、いかに少しでも安くするかが大切なんです。
総費用が大きい分、ぼやけてしまいがちになりますが、数万円の差でもかなり大きな違いになりますよね?
なのでコストを抑えるためには小さなことでもしっかりとこだわることが大切になるんです。
クロスや壁紙はシンプルなものをチョイスすることで10万円前後のコストダウンが見込めるので、予算にお困りの方はとにかくシンプルなものを選ぶようにしましょう。
最新設備はNG
設備と一言で言っても、冷暖房、キッチン、浴槽、トイレなど様々なものがあります。
これらの設備にも、メーカーの標準仕様がついてくることが多いので、必要なものをしっかりと選ぶようにしましょう。
設備がいいと、家の中での快適性は非常に良くなります。
逆に、設備がしょぼかったり、不足していたりすると使い勝手の悪い空間になってしまいます。
最新の設備は魅力的ですし、生活の質も向上するので、ついつい購入してしまう方もいらっしゃると思います。
しかし、最新の設備はとにかく価格が高いです。
最先端の技術やデザイン、機能性の設備を選んでしまうと、その分費用が高くなります。
そのため、設備はグレードを考慮することがすごく大切になるんです。
生産終了のモデルは価格が安いので掘り出し物が見つかる可能性が高いです。
加えて、最新モデルの販売が始まると、1つ前のグレードである設備は価格が一気に下がります。
それまで最先端を走っていた設備であっても、新しいものが生まれると価値が下がるんです。
型落ちといっても、それまで最新であった設備であることに違いありません。そのため、使い勝手まで悪くなること言うことはないんです。
なので、節約したいという方は最新の設備は避け、グレードを下げたり、型落ちアイテムを狙うことで大きなコストダウンが可能になります。
施主支給をする
施主支給とは、設備を自分で購入、または準備してメーカーに取り付けを行ってもらうことです。
以前まではメーカーが準備したものでしか対応していませんでしたが、現在では取り付け工賃のみで工事を行ってくれる業者も増えてきています。
現在、ネットショップなどでもキッチンやトイレなどの住宅設備の販売が行われています。
最新の設備ももちろんありますが、中には型落ちアイテム、アウトレット商品などの掘り出し物もあります。
そのため、メーカーに発注して取り付けてもらう場合より、自分で購入して取り付けだけ依頼した方が価格が安くなるケースがあります。
ここに関しては、逆に高くなってしまう場合もあるため、しっかりとした比較を行う必要があります。
さらに中古品も販売されてはいますが、すぐに故障してしまうものもあるので避けた方がいいです。
住宅設備は耐久年数が10年から20年のものが多いので、せっかく新築で住宅を購入しても、住宅のメンテナンスの前に設備が次々と故障するなんて事態は避けたいですよね。
なので、新品の型落ち商品やアウトレットに絞って探し、業者の提供する設備と価格や性能の比較を行うことで節約が可能になります。
素材や設備で上手に節約をしよう
注文住宅の節約は、間取りを変更する以外にもたくさんの方法があります。
中でも、価格の調整がしやすく、品質も保てる方法が素材や設備での節約です。
素材や設備の節約方法としては、
- メーカーの標準仕様は避ける
- 高い素材は最低限にする
- 量産品を使う
- 無垢材選びを行う
- クロス、壁紙はシンプルに
- 最新設備はやめる
- 施主支給
と、かなりたくさんあります。
1つ1つを見ると、金額的にものすごく安くなるものではありませんが、塵も積もれば山となるです。
平均価格が数千万円するうちの1万円となると、どうしても安いと思ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際の生活の中で1万円となると大きいですし、数十万円となるとかなりの額になりますよね。
注文住宅はトータル費用が高い分、1つ1つの割引額も他のアイテムと比べて大きくなる傾向にあります。
なので、小さな1つ1つこだわることで、コストダウンにつながり、予算内での家造りが可能になるのです。