注文住宅の家造りで、木造住宅にするか、鉄骨造住宅にするかで悩む方も多いのではないでしょうか。
どちらも特徴的で、メリット、デメリットがあるのでどちらにするかは家へのこだわりとそれぞれのメリットを考慮した上で決めることが大切です。
そこで今回は、私たち日本人が古くからなじみのある木造住宅についてご紹介します。
木造住宅の特徴や費用、メリット、デメリットなど詳しくお伝えします。
これから注文住宅を購入しようと思っている方はぜひ、参考にしてください。
目次
木造住宅の特徴とメリット
古くから自然と共に生活を送ってきた日本人にとって慣れ親しんだ木をメインにして造られる木造住宅。
大きく分けて3つの特徴、メリットがあります。
1.建築費用を抑えることができる
従来の注文住宅で、木造住宅の坪単価の平均は40万円から80万円といわれています。
これは鉄骨造と比べると坪単価が20万円ほど建築費用が安くなるので、木造住宅の魅力的な部分でもあります。
使用する木材によっても価格は大きくことなります。
木造住宅で使用される木材は強度や材質によって、使用する場所に適した木材があります。
そのため、様々な木を組み合わせて造られています。
木の使われ方には集成材と無垢材があります。
- 集成材:木材を1枚1枚切り出して、接着剤等で張り合わせたもの。フローリングでよく用いられる
- 無垢材:1本の木から切り出したつなぎ目のないもの。梁や柱として用いられるが、現在は床や天井、壁などにも使われる
価格は集成材の方が安いですが、現在では無垢材の方が圧倒的な人気を誇っています。
それは安全性が高いからです。
集成材は接着剤などを使用するため、アレルギーやシックハウス症候群の原因となってしまうことがあります。
接着剤などの化学物質を使用しない無垢材は、これらのリスクを回避することができるため、非常に需要が高まっているのです。
ただし、無垢材の中でも安い材種はありますし、節のついている無垢材は節のないものに比べて非常に安価です。
使用するポイントに応じて木材を自由に変更できる点もコストダウンにつながります。
なので、トータル的に見ても費用の調整がしやすく、建築費用が抑えられることが木造住宅の特徴の1つです。
2.設計自由度が高い
木造住宅は設計自由度が非常に高いです。
現在、注文住宅には3種類のパターンがありますが、自由な家造りが可能であるフルオーダー住宅との相性が非常に良いです。
木造住宅はたくさんの木を組み合わせて造られています。
柱を数本立て、その間に間柱を組み込むのですが、この間柱は壁の下地になります。
そのため、柱を見せるような設計にすれば壁材の使用量を抑えることができますし、その上から石膏ボードを使用して箱を作る工法を行えば、自由自在に形を変えることが可能になります。
そのため、鉄骨造と違いたくさんの壁材を使用しなくとも丈夫な家造りが可能になります。
また、柱の位置を自由に変えることができるため、豊富なバリエーションに適応できる柔軟性があります。
大きな開口部や吹き抜けなど、対応できる間取りの多さも木造住宅の魅力です。
さらに、建設が難しいとされている狭小地や変形地での家造りにも対応できる柔軟性の高さもポイントです。
3.木の温もりを感じられ、穏やかな空間ができる
木の演出する独特の温かみは、他の素材では演出できない木材最大の魅力でもあります。
キャメル、ブラウン、ダークブラウンなど温かさを感じさせるカラーばかりなので、穏やかでくつろげる空間づくりにも向いています。
観葉植物や木材を使用した家具との相性も非常によく、インテリアコーディネートがしやすいメリットもあります。
そして何より、木は住宅として使用されてからも生き続けている点です。
和室に代表されるように、木造住宅は日々、成長をしています。
- 日光の当たり具合
- 使い方
- 経過年数
などに応じて、家自体が変化していくのです。
家族の成長と共に、家自体もどんどん変化していき、深い味わいのある住宅へと成長していきます。
そのため、愛着が湧きやすく、大切に使いたいという気持ちが沸き起こってくる点も木造住宅の特徴です。
小さなお子様がいるご家庭では、子どもの成長と共に変化していく家を見て感慨を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このように、木造住宅には他の素材では演出できない空間演出力や建築費用が安いという特徴があります。
これらのメリットに家造りのこだわりがマッチしている方にとっては、木造住宅は非常におススメできると言えます。
木造住宅のデメリット
様々な魅力のある木造住宅ですが、実はあまり知られていないデメリットも多くあります。
これらのデメリットに対して、適切な対処を行うことが失敗や後悔を未然に防ぐポイントにもなります。
木造住宅のデメリットは大きく分けて4つです。
1つ1つしっかりと把握し、理解を深めた上で選ぶようにしましょう。
1.耐火性や耐久性が低い
木造住宅は鉄骨造に比べて耐火性や耐久性で劣ってしまいます。
特に自然災害の多い日本では非常に大きな問題になっています。
台風や地震などが到来した場合、倒壊してしまう多くの住宅は木造住宅です。
もちろん、建築基準法でこれらの最低限の基準は作られていますが、どうしても鉄骨造と比べると見劣りしてしまいます。
先ほど、木材は変化していくとお伝えしましたが、味方を変えると腐食や劣化しやすいという特徴もあります。
これらを防ぐために、日々のお手入れや定期的なメンテナンス、コーディングなどが必要になるため、維持費がかかることもデメリットです。
また、火災に対しても弱く、燃えやすい材質なので家の内部からの出火はもちろん、近隣で火事などがあると移り火をもらってしまう恐れもあります。
乾燥しやすい季節には自然発火の危険性も高くなるため注意が必要です。
現在では加工技術が進歩していることもあり、火災に強い家造りを行う業者も増えていますが、そもそも燃えやすい木材を使用しているので、対応力には限界があります。
2.保険が高い
住宅保険の中でも多くの方が加入する保険は「地震」と「火災」の2つです。
実はこれらの保険は構造によって区分けされています。
- T構造(耐火構造):鉄骨造住宅
- H構造(その他の構造):木造住宅
となっており、保険料はH構造の方が高くなります。
地域や保険会社によってその差に開きはありますが、地震保険はT構造のおよそ2倍、火災保険はT構造のおよそ3倍と、保険料だけでもかなり大きな差になります。
初期費用は安くとも、災害に弱いため、長期に渡り住み続けていくことを考えると、住宅ローンの返済に加え、高額な保険料を支払って行かなくてはならなくなります。
メンテナンスや修繕費などと合わせると、鉄骨造よりも多くの維持費が必要になるため、長期的な資金計画を立てておくことが必要になります。
3.業者の腕によって仕上がりが変わる
木造住宅で一番気をつけたい部分がココです。
実際に施工する業者の技術力によって、出来上がる家の品質にばらつきが非常に多いです。
もちろん、工法の工夫や素材の一括生産、一括加工などにより、ばらつきを最小限に抑える努力をメーカー側も行っています。
しかし、どれだけ優れたマニュアルや素材を作っていたとしても、実際の現場で仕事をする職人が悪ければいい家は建ちませんよね?
- 寸法が違う
- 建付けが悪い
- 依頼した場所と違う位置に取り付ける
- クロスの貼りが雑
- 傾斜がついてしまっている
- ズレをごましている
など、言い方は悪いですが職人のプライドを感じさせない施工をする業者も少なからず存在しています。
なので、地域で評判のいい業者に依頼をしたり、全国的に有名な大手ハウスメーカーに依頼をしたのに失敗や後悔を感じてしまう方が多いのです。
そして何よりも恐ろしいのは、実際に施工する業者を確認することができない点です。
特にハウスメーカーの場合は、実際の施工は下請け業者に委託することがほとんどです。
非常に難しい部分ではありますが、地域の口コミや評判で少しでも悪い内容を耳にするようであれば、十分な注意と事前確認を行う必要があるでしょう。
4.害虫に弱く、様々な問題が起こる
木造住宅は性質上、害虫の発生率が鉄骨造住宅に比べて大きいです。
木は自然の生き物なので、虫が寄ってきてしまうのは仕方のないことでもあります。
かといって、家の中が虫だらけっていうのもダメなので、基本的には害虫対策として駆除薬などの薬品が多く使用されます。
住宅の中に設置する各種シートもありますし、加工の段階で害虫が寄り付かないように薬品を添付することもあります。
これらにより、害虫を遮断することはできるのですが、他にも問題が起きてしまうのです。
特に人体に対する悪影響が非常に大きな問題として挙げられます。
十数年前に話題になった「シックハウス症候群」はこのような有害物質が原因なのです。
害虫に対して効果があるということは、人体に対しても悪い影響を及ぼすものであるということです。
野菜なども人間が食べて大丈夫なものには、虫もよってきて食べるものが多いですよね?
それと全く同じで、程度の差はあれど、殺虫力の高い成分は人体に対して悪影響を及ぼす危険性が高いのです。
なので、アレルギー体質の方や敏感肌の方が新築住宅に住み始めてから体調を崩すといったケースも多いです。
現在はメーカーの努力により、24時間の換気設備、高気密高断熱性など、様々な技術でカバーリングされています。
しかし、すべてのアレルギーに対応できてはいないので、確率としては低いですが、影響を受けてしまうおそれもあります。
木造住宅で失敗しないために
木造住宅を建てる際に、失敗や後悔を防ぐためにできることは1つです。
それは、業者の比較をしっかりと行うこと。
これに尽きます。
業者ごとにコンセプトやこだわり、使用する素材等様々な部分に差が出てきますが、中でも安全性への説明は非常に重要なポイントになります。
契約することを前にしている業者では、まずこのような説明がされることはありません。
なので、しっかりと質問をぶつけ、納得した上で契約をする必要があるのです。
そしてメーカーの技術力はもちろん、企画力、発想力なども担当者や設計士によって大きく異なります。
こだわりを形にすることはもちろん、安心を感じられる中で家造りをした方が絶対にいいですよね。
なので、遠慮せずに業者にしっかりと質問、相談をし、納得した上で家造りを進めることを強くおすすめします。
メリット、デメリットを踏まえて決めることが大事
木造住宅には、魅力的なメリットと、大きな問題を発生させるデメリットがあります。
大切なのは、メリットという魅力を最大限引き出し、デメリットをいかに対処していくかを考えることです。
木造でも鉄骨造でも、良い部分もあれば悪い部分もあります。
その中で、失敗や後悔を最小限に抑えるための工夫をしていくことが、家造りでは何よりも大切なことになります。
木造住宅のメリット
- 建築費用が抑えられる
- 設計自由度が高い
- 木の温もりを感じられ、穏やかな空間ができる
木造住宅のデメリット
- 耐火性や耐久性が低い
- 保険料が鉄骨造より高い
- 業者によって仕上がりが変わる
- 害虫に弱く、様々な問題が起こる
どのような建て方をしても問題点は出てくるので、デメリットとして否定的に見ず、いかに対処していくかを考える必要があります。
そのため、業者にしっかりと質問、相談を行い、納得した上で家造りを進めていくことが大切です。
安心感を得られることは、業者への信頼感にも繋がります。
業者の良し悪しを判断するためにも、しっかり複数業者の比較をして、失敗や後悔を未然に防止していきましょう。