一昔前までは、マイホームを購入することは1つの大きな目標でした。
長期ローンを組んで、数千万円の家を購入し、住宅ローンの返済をしながら生活をしていくことが一般的でした。
しかし、年収の低下や顧客のニーズが変化し、住宅業界が新たに打ち出したマイホームが「ローコスト住宅」でした。
今まで高くて当たり前だった住宅を、安くて品質のいい家にすると驚きの方針を打ち出しました。
各メーカーの技術力の進歩とシステム管理、設計力など様々な努力を行い、ローコスト住宅は誕生しました。
しかし、どのメーカーでも、どの地域でもすべてのローコスト住宅が素晴らしい住宅であるとは言い切れません。
地域によって差もありますし、業者によって大きな差が生まれる現実もあります。
そこで、今回はローコスト住宅で良い家にするために抑えておくべきポイントをご紹介します。
これからローコスト住宅でマイホームを購入しようと思っている方や、これから家造りを行いたいけど予算が少なくて困っているという方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ローコスト住宅の相場を知る
ローコスト住宅と一言で言っても、価格帯にはものすごく大きな差が生まれます。
一般的に、ローコスト住宅としての目安になるのは、建物の本体価格が1,000万円から1,500万円と言われています。
付帯工事費で20%、諸費用で10%のコストが必要になるので、おおよその総費用は1400万円~2200万円になります。
この価格帯で住宅を建てることができれば、ローコスト住宅では十分合格点です。
メーカー側は「坪単価」という形で価格を表記することもありますが、おおよそ30坪の施工面積があれば十分快適な生活を送ることができます。
坪単価は建物の本体価格÷施工面積で算出されるため、坪単価に直すとおおよそ30万円~50万円が目安になります。
ただし、現在はローコスト住宅でも価格競争が始まっています。
ものすごい安いメーカーだと、建物の本体価格が500万円台、坪単価は20万円台とかなり破格な費用で家造りを行っているところもあります。
しかし、最も大切な部分はここではありません。
「安い」だけではダメなんです。
費用がいくら安くても、快適性が悪く、住宅性能が低い家では住み続けることはもちろん、満足することはできません。
なので、価格と品質のバランスのとれたローコスト住宅が今、多くの方々に求められ、メーカーもそんな家造りをしようと躍起になって研究、開発を行っています。
メーカーごとの品質の違いとは?
通常の注文住宅や建売でも、ローコスト住宅でもメーカーごとに特徴は全く違います。
- デザインをシンプルにする分、高気密高断熱性に特化する(アエラホームなど)
- 格安タイル素材で、外観デザインを中心にした家造り(クレバリーホームなど)
- 格安長期優良住宅を提供(タマホームなど)
- ローコストでありながら自由設計を実現(レオハウスなど)
- 高品質でアフターサービスも充実(アキュラホームなど)
- グループ活動でコストを抑えて高品質を実現(アイフルホームなど)
- 自然の力を最大限活用、独自テクノロジーで他にはない快適性を実現(ユニバーサルホームなど)
と、大手ハウスメーカーの特徴を見ても、それぞれが独自性の高い家造りを行っています。
そして、これらの違いがメーカーごとに現れているということは、依頼者によって最適な業者が異なるということでもあります。
地域の名前だけで業者を選んでしまっては、依頼者が望む家へのこだわりと違った家が建ってしまうこともあるということです。
つまり、家へのこだわりとメーカーのコンセプトが合致している業者を選ぶ必要があるということです。
ここを把握せずに家造りを行うと、失敗や後悔が生まれてしまうため、細心の注意が必要になります。
ユニバーサルホームの地熱床システムはすごい!
ユニバーサルホームが独自開発した新システム「地熱床システム」が業界でも注目を集めています。
従来の家造りでは、基礎工事を行って床下部分に組木をして土台を安定させ、その上に組み立てて家を建てるという方法です。
しかし、この地熱床システムは、床下部分の空洞をなくした設計になっています。
これにより、地熱の影響を家の内部に浸透させることができるようになります。
地熱は、夏は涼しく、冬は暖かいという特性があります。
このシステムを取り入れることで、床暖房なしで快適な床を実現することができるのです。
一般的な床暖房はリビングに設置されますが、これではキッチンや廊下、他の部屋などの床との温度差が生じてしまいます。
しかし、地熱床システムは1階のフロア全体が対象となるので、どこに行っても同じ温度で生活を送ることができるのです。
さらに、驚きなのが床下浸水の被害を完全にブロックすることができる点です。
自然災害が増えて来ている日本にとって、台風や洪水、津波に強い家というのは非常に魅力的ですよね。
通常の家造りでは、床下浸水が起こると、
- ゴミが流されるため掃除や消毒が必要
- 基礎が壊れると家が倒壊する
- 台風や暴雨の場合、非難が必要
といった手間がかかりますが、地熱床システムにはその必要や心配が一切ないんです。
加えて、床暖房は標準設備に取り入れられていないことが多いため、設置コストがかかってしまいます。
しかし、ユニバーサルホームは地熱床システムを標準設備としているため、建築コストが必要ありません。
自然災害や快適な空間を求める方に非常に人気が出てきている大手ハウスメーカーの地熱床システム。
これから多くのメーカーが研究開発を行うと、もっとすごいテクノロジーが家造りに反映されていきそうですね。
地域ごとでメーカーの評価が違う理由
メーカーごとの口コミや評判をネット等で検索した経験のある方も少なくないのではないでしょうか。
そこで疑問に思うのは、大手ハウスメーカーの評価が地域によってすごく差があることです。
もちろん、依頼者によって出来上がった家への満足度は異なります。
思ったような家にならなかった、出来栄えがイメージと全然違ったといった感想が生まれることもあると思います。
しかし、それには実は1つ大きな理由があります。
特に大手ハウスメーカーに言えることですが、現在の住宅業界での大手ハウスメーカーは直営ではなくフランチャイズ契約が基本です。
管轄している地域によって直営店の登録をしている業者もありますが、名前だけを借りて別の業者が施工を行っているケースがほとんどです。
大手ハウスメーカーが全国展開をする中で、どの地域にも直営店を出すのには限界があります。
そこで加盟店を募り、全く別の会社が大手ハウスメーカーの名前を借りて施工にあたっているのです。
もちろん家造りのコンセプトや標準仕様、特徴となる住宅性能に変わりはありません。
しかし、企業コンセプトの理解度と、施工技術の差がそのまま住宅に反映されてしまうんです。
大手ハウスメーカーの家造りは、いわば完全にマニュアル化された家造りでもあります。
健康被害の少ない素材を使用し、一括生産によりコストを最小限に抑える。
そして、加盟店に依頼することで人件費を削減し、ローコストを実現しているのです。
つまり、地域によって施工する業者の技術力や対応力が異なるので、同じ条件で施工をしても出来上がる家が全く違ってくることに繋がっています。
例えば、小学生とプロ野球選手に同じ道具を与えて野球をさせたとして、勝つのは絶対プロ野球選手ですよね?
それほどまでに絶対的な基礎力は、結果を大きく変えてしまうんです。
なので、どのメーカーに頼むかという名前で決めるのではなく、その業者でいいのかという目線で比較をすることが大切になるのです。
標準仕様で満足しない。徹底的にムダは省く
注文住宅では標準仕様で家造りを行うメーカーが多いです。
ローコストでも同じで、標準仕様という項目に設備や素材名が記載されていることが多いです。
実はこの標準仕様は、注文住宅であれば変更することができます。
グレードを上げることはもちろんですが、費用に応じてグレードを下げ、価格を安くすることも可能なんです。
予算ギリギリでローコスト住宅を作る場合、いかにコストを予算内にとどめるかがポイントになります。
代表的なコストを下げる方法としては、
- 部分2階ではなく総2階にする
- 使用する素材(床、壁、天井、クロスなど)を最小限にする
- 壁を少なくする
- 外構を変更する(不要なものはつけない)
- 水回りをまとめる
- シンプルな作りにする(間取りや屋根など)
があります。
これらが標準仕様でなかったとしても、担当者に相談をすれば対応してくれる業者は意外と多いです。
なので、標準仕様が価格が一番低いラインという認識ではなく、徹底的にムダを省くことで、よりよりローコスト住宅を建てることに繋がるのです。
ローコスト住宅は平屋がいいのか、2階建てがいいのか
費用を最小限にしようと思った場合、どちらにしていいのか迷う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、結論からお伝えすると、どちらもほとんど差はないと言っていいです。
平屋の特徴は、施工面積が最小限で済む点です。
床と天井が1階部分だけでいいので、施工面積を抑えることができ、結果、価格が安くなっているのです。
また、階段を設置する必要がないので、素材が少なく済んだり、スペースを最大限活用することができる点も特徴です。
しかし、いくら平屋にしたからといって、
- デザイン性の高い間取りや形にする
- 素材に安いものを使わない
- 土地の価格が高い
となってしまっては、結果的に2階建てよりも高くなります。
2階建ての場合は、何も考えずに建ててしまうと平屋よりも建築費用は高くなりますが、
- 総2階にする
- 階段を独立させない(リビング階段のようなイメージ)
- 水回りを最小限にしてまとめる
などの工夫をすることで平屋同等かそれ以下の費用に抑えることができます。
どちらも安くするためにはコツを押さえておく必要があるため、ローコスト住宅の購入の際は必ず担当者に確認をし、不要な費用を発生させないように注意することが必要です。
ローコスト住宅でも比較と工夫が必要
安さに定評のあるローコスト住宅ですが、実際に施工するメーカー、業者によって出来栄えは大きく異なります。
ローコスト住宅の相場は、建物本体価格は1,000万円~1,500万円、坪単価は30万円~50万円が目安です。
メーカーごとに家造りのコンセプトや特徴が異なるため、自分のこだわりに合致した業者を選ぶことが必要です。
また、大手ハウスメーカーに依頼をする場合、フランチャイズ契約をした業者が施工を行うことがほとんどです。
地域によって同じハウスメーカーの名前でも品質に大きな差が生じるため、注意しましょう。
また、メーカーの標準仕様は最低価格のラインではなく、あくまで標準仕様です。
予算に応じてグレードを変更したり、無駄を省いたりすることができるので、担当者に遠慮せず申し出るようにしましょう。
ローコスト住宅では平屋でも2階建てでも建築費用のコストはほとんど変わりません。
土地の面積や間取りの工夫により費用を抑えることができるので、積極的にプランニングをしたり、担当者に相談するようにしましょう。
ローコスト住宅といえど、担当者やメーカーに任せきっていては理想通りの家を建てることはできません。
妥協せず、聞きたいことや言いたいことははっきりと伝えることが、安くて品質のいい家造りには欠かせないのです。