以前の注文住宅をはじめとする家造りでは木造住宅が主流でした。

しかし、様々な災害やニーズ、環境への適応を理由に現在では鉄骨上住宅の人気が大きくなってきています。

生活を送る住宅へ取り入れられたのは比較的最近であるため、鉄骨造住宅に対しての不明な点がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は鉄骨造住宅の特徴や費用、メリット、デメリットを詳しくご紹介していきます。

木造にしようか鉄骨造住宅にしようか迷っている方はもちろん、これからマイホーム造りを計画していらっしゃる方はぜひ参考にしてください。

 

鉄骨造住宅の費用と特徴

鉄骨造住宅の坪単価は、木造住宅の坪単価より高い60万円から85万円といわれています。

木造住宅の坪単価が40万円から80万円なので、坪単価で20万円前後高い計算になります。

鉄骨造住宅の組み立て方は、鉄筋で骨組みを作り、そこから様々な施工を行って造り上げられていきます。

コンクリートで基礎や壁を作り、防錆やカラーリングなどの塗装を行うなど施工が多くなるため、建築期間が長くなります。

もともとの材料費はもちろんのこと、工期が長引くことにより人件費が発生するため、木造住宅よりも高い坪単価になっています。

しかし、鉄骨造住宅には木造住宅にないメリット、そして何より木造住宅のデメリットを改善する強みがあります。

それでは鉄骨造住宅のメリット、デメリットを1つずつご紹介していきます。

鉄骨造住宅のメリットは4つ!

鉄骨造住宅のメリットは、住宅性能、間取り、維持費にまつわるものが多いです。

どれも暮らし続けていく上で非常に魅力的なものになります。

もしこれらのメリットに魅力を感じたら、予算と相談の上、鉄骨造住宅を検討してみてくださいね。

1.耐久性、耐震性、耐火性に優れている

鉄骨造住宅で最も特徴的なのが高い耐久性と耐震性、耐火性です。

木造住宅の場合は、時間の経過とともに劣化が進み、様々なメンテナンスやコーティングなど維持費が必要になります。

しかし、鉄骨住宅の場合はコンクリートで覆われているため、劣化の進捗が木造よりはるかに遅いのです。

軽いメンテナンスは必要になりますが、長期間壊れにくい頑丈な作りになるので、維持費の節約にも繋がります。

また、耐震性は木造よりも非常に高く、地震が来ても倒壊のリスクを最大限回避できる作りになっています。

地震が発生すると、家全体に大きな変形力がかかり、木造住宅の場合はその変形力に耐えることができないため、倒壊してしまいます。

しかし、鉄骨造住宅は大地の揺れに連動して鉄骨が揺れてくれるので、変形力を吸収し、大きな地震にも耐えられる構造をしているのです。

日本ではここ数年、大きな地震が頻繁に起きています。

今、懸念されているのは南海トラフですが、それ以外の地域でも大きな地震が起き続けています。

いつくるか分からない地震に対して万全の備えができるのは、非常に大きなメリットですよね。

さらに、コンクリートは耐火性が高いですし、鉄筋も燃えにくい性質を持っているので火災にも強いのです。

地震が発生すると、二次災害として火災が発生するケースもありますし、通常の生活の中で自然発火などによる家事も起こるおそれがあります。

そうした災害に強いのみ鉄骨造住宅の魅力の1つです。

また、丈夫な家ということもあり、親子代々住み続けらえれる点も鉄骨造住宅の強みです。

2.大きな開口で住宅性能アップ

木造住宅で大きな開口を確保する場合は、耐力壁が必要になりますが、鉄骨造住宅の場合はコンクリートを固めてしまうため耐力壁なしで大きな開口を作ることができます。

そのため、吹き抜けや大きな窓を取り付けやすいメリットがあります。

これにより、採光が良くなるので、照明がなくとも明るくて過ごしやすい空間を造り上げることができます。

また、通気性も非常に良いので、穏やかな室内空間を実現することも可能です。

ただ広いだけでなく、快適性も向上させることができる点も、鉄骨造住宅ならではの特徴と言えます。

3.害虫、花粉対策が容易

シロアリをはじめとする様々な害虫に対しても、鉄骨造住宅は非常に強いです。

コンクリートで家全体を覆っているため、外部からの侵入をシャットアウトすることができます。

さらに、基礎にも木材を使用していないので、思わぬところから害虫が発生するリスクも最小限に抑えることができます。

加えて、隙間の少ない構造なので、気密性が高く、花粉などの飛沫に対しても強いです。

接着剤などの有害物質を使用することもないので、シックハウス症候群対策も同時に行える点も特徴です。

ただし、壁や床に木材を使用している場合や大きな窓を設置している場合は注意が必要になります。

木造住宅では対処を講じないと思わぬ被害を受けてしまうところですが、その心配がない点は非常に魅力的ですね。

4.保険料が安い

現在、住宅の火災保険と地震保険はT構造とH構造の2つに分類されています。

T構造とは耐火構造の略で、鉄骨造住宅はこちらに属し、木造住宅はH構造に分類されます。

地域や保険会社によって価格差はまちまちですが、T構造の方が火災保険料は1/3、地震保険料は1/2ほど保険料が安くなります。

長年住み続けていく場所なので、保険への加入はできるだけしておきたいですよね。

そして、保険はずっと支払いが続くものであるので、できるだけ安い方が家計にとってもありがたいものです。

初期費用としては木造住宅よりも高いものの、メンテナンスは保険料などの維持費のことを考えると、鉄骨造住宅も非常に魅力的ですよね。

鉄骨造住宅のデメリットは3つ!

高気密性に優れ、様々なメリットがある鉄骨造住宅ですが、木造住宅と同様にデメリットも存在します。

住宅性能というよりも、家造りへのこだわりに影響のあるものなので、対処さえしっかりできれば魅力的な家にすることも可能です。

それでは1つずつ詳しくご紹介していきます。

1.価格が非常に高い

先ほどもお伝えしましたが、木造住宅と比べ、坪単価が20万円ほど高いです。

鉄骨の単価は木材のように大量生産で抑えることができないため、素材費が非常に多くかかってしまうのです。

また、鉄骨造住宅が高くなってしまう原因は土地でもあります。

鉄骨造という構造を作るには、広い敷地が必要です。通常の住宅と同じサイズの家を作ろうと思っても、やや広めの土地が必要になるのです。

そうなると、坪単価が20万円であっても、施工面積が広がるため、非常に高額になってしまう恐れがあるのです。

床面積が3坪違うだけで、天井の面積も合わせて6坪分の費用が必要になります。

ざっと計算するだけでも、20万円×6坪=120万円もの費用が木造住宅よりも多くかかってしまいます。

さらに、壁などに凹凸部分があると施工技術が必要になるため、その分費用がかさんでしまいます。

2.設計自由度が低い

耐久性や耐震性を強化する関係で、鉄骨造住宅では鉄筋を組む位置が最初から定められています。

そのため、自由に柱の位置を変えて調整が行える木造住宅と比べて、設計自由度は低いと言わざるを得ません。

大きな開口を確保する際でも、別の位置で鉄筋を組む必要があるため、間取りの自由度も低くなってしまいます。

また、前述の通り、鉄骨造住宅を建てるには、木造住宅よりも広い敷地が必要になります。

そのため、建てられる土地が比較的決まってしまう点もデメリットです。

大きな機材や車が入れないような狭小地、変形地での建設は不可となってしまうケースが多く、様々な部分で制約を受けやすい点が鉄骨造住宅のデメリットでもあります。

3.結露やカビ

鉄骨住宅で生活を送る上で一番気をつけなければならないポイントがココです。

高気密過ぎることにより、結露やカビが発生しやすく、適切な対処が必要になります。

木造住宅の場合は木が呼吸することにより湿度を保ったり、通気性の高さや温度変化に対応できることから結露の発生の心配は少ないです。

しかし鉄骨造住宅の場合、基礎となる鉄筋も壁材となるコンクリートも温まりやすく、冷えやすい性質を持っています。

これにより、外気との間に温度差が生まれやすくなるので、木造住宅以上に結露の発生がしやすく環境になるのです。

高気密という密閉空間で結露が発生すると、対処をしなければカビの発生に繋がります。

そしてカビの繁殖力は非常に強いので、一度発生してしまうと度々発生してしまう危険性も高くなります。

十分な換気設備と、風の通り道を計算して設計する必要があるため、設計士の腕が試される部分でもあります。

鉄骨造住宅にするときの業者選びに注意

鉄骨造住宅は基本的には大手ハウスメーカーしか対応をしていないことがほとんどです。

地元の工務店などで鉄骨造住宅を行おうとすると、施工に必要な機器の維持費だけでも非常に高額になるため、資金力のある大手ハウスメーカーしか参入できていない状況にあります。

そのため、鉄骨造住宅の業者選びは木造住宅の業者選びよりも非常に難しいのです。

「大手ハウスメーカーだけで比較すればいいから簡単になるのでは?」と思われる方もいらっしゃると思います。

しかし、大手だけに絞られるということはそれだけ選択肢が減るということでもあります。

住んでいる地域や近隣に希望通りの家造りを行えるメーカーがなかったら、妥協せざるを得なくなりますよね?

また、大手ハウスメーカーの多くはフランチャイズ契約を結んでおり、実際に施工する業者は地域の建築業者になります。

そのため、木造には慣れていても、鉄骨造には慣れていない業者が施工するといったケースになることも十分ありうるのです。

なので、あたりとハズレが非常に大きくなり、失敗や後悔が生まれやすくなっていると言っても過言ではありません。

これを防ぐには、すべての業者を比較する必要があるのですが、メーカーによって価格差が生まれやすい問題があるので、鉄骨造住宅にするのは非常にたくさんの問題をクリアしなければならなくなるのです。

予算のバランス、希望の間取り、業者の質。

これらに着目して、木造住宅も選択肢に抱えながらの業者探しが失敗や後悔を防ぐためには必要になるのです。

鉄骨造住宅には魅力と問題がたくさんある

木造住宅の欠点を完全にカバーすることができる鉄骨造住宅。

しかし、木造住宅のメリットを継承することもできず、様々な問題が起きてしまう非常に難しい家造りになる恐れのある工法でもあります。

 

鉄骨造住宅のメリット

  • 耐久性、耐震性、耐火性に優れている
  • 大きな開口で住宅性能アップ
  • 害虫、花粉対策が容易
  • 保険料が安い

 

鉄骨造住宅のデメリット

  • 価格が非常に高い
  • 設計自由度が低い
  • 結露やカビ

 

また、施工可能な業者も限られてくるため、出来上がる家のバリエーションに制限があることもデメリットの1つです。

大手ハウスメーカーはフランチャイズ契約により、施工を下請け業者に委託しているため、業者の質を見極めることも必要になります。

価格、品質、施工の腕のすべてを考慮した家造りをしなければならないので、木造住宅よりも希望通りの家を造り上げる難易度が高くなります。

しっかりと業者を比較しつつ、木造住宅も選択肢に入れながら家造りを進めることがポイントです。