住宅性能や間取り、デザインなど、注文住宅でこだわりたい部分はたくさんあります。
設備やインテリアなど、自分好みの空間を造り上げることができる注文住宅ですが、ちょっとした遊び心を間取りに取り入れることも可能です。
その1つが視覚的に楽しめる「坪庭」です。
今、老若男女問わずこの坪庭の人気が高まっています。
そこで、今回は坪庭についてご紹介していきます。
坪庭に適した植物やポイント、注意点も合わせてお伝えしていきます。
独自性の高い家造りがしたい方や、安らげる空間を造り上げたいという方はぜひ、参考にしてください。
目次
坪庭ってなに?
坪庭は宅地内で四方を囲んで造り上げた小規模の庭のことを指しています。
灯篭、ししおどし、飛び石、日本の樹木などを取り入れた和風坪庭と、枕木やレンガ、西洋のインテリアを取り入れた洋風坪庭のように、様々なジャンルがあります。
3面を壁で囲み、1面にガラスや引き戸を設置するタイプもあれば、1面が壁で3面から見ることが出来る形状もあるなど、坪庭と一言で言っても多種多様な坪庭を作ることができる点も特徴の1つです。
同じ植物を植えたとしても、配置、カラーバランス、日光の当たり具合などで見え方が変わるため、自分だけのこだわりを反映させやすいです。
特に都会では、植物の緑が非常に少ないです。
植物は見ていると心が落ち着きますし、新鮮な気分になりますよね?
玄関から入って正面に坪庭を設置すれば、毎日帰宅時に植物の緑に癒されることができます。
浴室の傍に設置をすれば、星空や夜景を楽しみながら、植物を見て心を穏やかにすることもできます。
このように、都会の風景と坪庭の風景を融合させて楽しむことが出来る点も坪庭が人気となっている理由です。
設置費用は植物や素材にもよりますが、15万円と比較的安く取り入れることが出来るので、手軽に楽しめると非常に人気が出てきています。
坪庭に適した植物
坪庭に取り入れる植物は、「中高木」と「低木・グランドカバー」があります。
坪庭に設置する植物の組み合わせによって見方が変わるため、正しい組み合わせがない点も坪庭を楽しめる理由となっています。
好みに応じて、取り入れたい植物が変わってくるので、イメージ通りの坪庭になるように植物を選びましょう。
1.中高木
背丈が1.5m以上ある植物のことです。
坪庭は比較的面積が小さいので、この中高木がシンボルツリーとしての役割を果たします。
また、全体の調和を取る意味でも非常に重要になるので、好みに応じてどの植物をメインにするかを決めるようにしましょう。
中高木でも大きく分けて2つに分類されます。
常緑樹
年間を通じて常に緑色の葉をつけている樹木のことです。
夏には涼しげな印象を与えてくれ、冬でも葉をつけているので温かい、穏やかな印象を演出してくれます。
大きく成長するものが多く、シンボルツリーとして活用することもでき、ライトアップとの相性もいいので非常に人気が高いです。
大きな葉にポツンと小さな花を咲かせる椿やサザンカ、特殊な葉の形が面白さを増幅させるカクレミノなどがあります。
他にも、ハウチワカエデ、モッコク、ヤダケ、シュロチク、モウソウチク、クロチク、ヤツデなどがあります。
落葉樹
秋から冬の間は葉を落とす落葉樹は、四季で変化する樹木として非常に人気があります。
季節の変化を楽しむことができるため、シーズンごとに表情を変えてくれる点が特徴です。
シンボルツリーとして人気な樹木にはモミジがあります。
日本人なら誰もが知っているモミジでも、存在感を演出するヤマモミジや繊細さを醸し出すシダレモミジなど、様々な種類があります。
他にもヤマボウシ、アオダモ、ヒメシャラなど、坪庭に合わせやすいたくさんの落葉樹があります。
2.低木、グランドカバー
背丈が1.5mのものを低木と呼び、土の部分を覆うように隠すものをグランドカバーといいます。
どちらも坪庭には欠かせないアイテムで、中高木や各種アイテムのバランスを図る役割も果たしています。
敷地一面に敷き詰めるので、坪庭の雰囲気を決定づける非常に重要なアイテムです。
よく見るものとしては、アジサイやクマザサ、赤い実が可愛いナンテンなどがあります。
他には、アオキ、センリョウ、シャガカンツバキ、ドウダンツツジなどがあります。
シンボルツリーとの相性もいいですが、うまく組み合わせればシンボルツリーなしでもおしゃれな坪庭にすることができるので、価格をできるだけ抑えたい方にもおすすめできる植物です。
坪庭作りのポイント
坪庭は業者に依頼するだけでは、自分のこだわりが反映された空間を造り出すことはできません。
依頼者の独自性をいかに表現するかという点が業者の腕の見せ所になります。
そのため、坪庭作りのポイントを押さえてから業者に1つずつ要望を提示し、実現してくれるように依頼をしましょう。
1.コンセプトを決める
「木の緑を感じられる和テイスト」「ライトアップでおしゃれさを演出」「洋風でシックなイメージ」など、理想の坪庭のコンセプトをしっかりと決めましょう。
なかなかアイデアが沸かない方は、ネットや本などでイメージを沸かせるのも効果的です。
一般的に、柔らかいイメージであれば落葉樹+グランドカバー、固くてカッコいいイメージであれば、常緑樹+石といった組み合わせになることが多いです。
また、洋風、和風で使用する植物や材料も変わるため、大枠でもいいのでコンセプトをしっかりと決めるようにしましょう。
2.間取りの確保
どのくらいの間取りを取り入れられるかも計算して出しておくようにしましょう。
1坪からでも坪庭は作ることができますが、コンセプトによっては2坪、3坪とグレードアップさせる必要もあります。
ただし、いくらおしゃれな坪庭にしたいからと言って、部屋の間取りにムリが出てしまうのは禁物です。
あくまで室内が快適であってこそ生きてくるものであるので、バランスを崩さないように準備できる広さを計算するようにしましょう。
3.植物、アイテムを決める
コンセプトと間取りが決まったら、実際に植える植物やアイテムを決めるようにしましょう。
このとき、植物に対する知識がしっかりとある方であれば、自分で決めることができますが、よくわからない方は遠慮せずに業者に依頼するようにしましょう。
ただし、業者によっては坪庭作りが未熟な業者もあります。
そのような場合は造園業者に依頼をすると、適切なアドバイスがもらえます。
4.盲点がないかをチェックする
坪庭作りでは、おしゃれな空間、安らぎの空間ができることに視点がいきがちです。
そこで、坪庭作りによって生じる問題への対処法を考えずに取り付けてしまい、後から後悔するケースが非常に多いです。
なので、これからご紹介する坪庭の注意点や植物、間取り、コンセプトに関してもしっかりと確認し、失敗や後悔を未然に防止しましょう。
坪庭作りで注意すること
家の間取りの一部を庭にするだけで見た目がガラッと変わる坪庭ですが、問題が発生してしまう場合もあります。
これらを踏まえた上で取り入れているのであれば、適切な対処も可能です。
しかし、対処法がない中で坪庭作りをすると思わぬ失敗を招くおそれがあります。
しっかりと対処できるように、坪庭の注意点を3つ、押さえておいてください。
1.虫の発生
坪庭最大の問題は虫の発生です。蚊や毛虫を始めとして、様々な虫が坪庭には集まってきます。
花の咲く植物を植えた場合は、蜂など人体に危害を加える虫も入ってくるため、注意が必要です。
また、虫の発生を防止するために防虫剤の散布の必要も出てきます。
アレルギーをお持ちの方がいらっしゃる場合は、思わぬ健康被害を引き起こすおそれがあるため注意が必要です。
さらに、窓を開けっぱなしにしておくと家の中に虫が入ってくることもあるため、あらゆる面での管理、リスクマネージメントが必要になります。
2.メンテナンスが必要
坪庭は小規模と言えど、細かなのメンテナンスが必要になります。
造ったときはまだ育っていなくても、日々成長していくものなので、しっかり管理をしなければなりません。
特に落葉樹を選んだ場合は、毎年秋から冬にかけて落ち葉の掃除を行う必要があります。
雨に当たるとぐしゃぐしゃになってしまうので、細かな気遣いをすることが大切です。
仮に、メンテナンスを怠ってしまうと、見栄えの悪い坪庭になってしまうので本来の意図から大きくズレたものになってしまいます。
メンテナンスが面倒で、結果的に「必要なかった」と感じてしまう方もいらっしゃるので、細かな作業が苦手な方は控えた方がいいでしょう。
3.コストが余分にかかる
設置費用としては、植物、砂利、柵、塀などの素材費用と設置費用が必要になります。
しかし、それ以外にも維持費が必要になるため、継続的にコストがかかるので、予算がギリギリの方の場合は、将来的な家計の状況も考慮して設置を決める必要があります。
担当したメーカーや造園業者が定期メンテナンスをアフターサービスでしてくれればまだいいですが、中には費用が発生する業者もあるため、事前に確認しておくようにしましょう。
また、ハウスメーカーが坪庭作りを行ってくれる場合は設置費用のみで済む場合が多いですが、造園業者に依頼する場合は若干割高になるので、注意してください。
メリット、デメリットや注意点を押さえて、自分だけの空間を作ろう
おしゃれで独自性の高さを演出できる坪庭。
自分だけの空間を造り上げたいというニーズにぴったりなこともあり、非常に人気が高まってきている間取りの1つです。
和風、洋風など組み合わせによって様々な種類があることも特徴です。
取り入れる植物は、
- 中高木(常緑樹、落葉樹):シンボルツリーとしての役割
- 低木、グランドカバー:坪庭全体の演出
があり、灯篭やししおどしなど設置できるアイテムが多いことも魅力です。
坪庭作りのポイント
- コンセプトを決める
- 間取りの確保
- 植物、アイテムを決める
- 盲点がないかをチェックする
坪庭の注意点
- 虫の発生
- メンテナンスが必要
- コストが余分にかかる
これらにいかに対処するか、継続的に発生する費用もあるので、しっかりと考慮して取り入れるべきかどうかを判断する必要があります。
ムリヤリ設置しても失敗や後悔と感じてしまう確率が上がってしまうので、
- 予算に余裕がある
- 間取りも十分に快適
- 間取りを削らなくても設置ができる
という場合に、アクセントとして取り入れた方がいいです。
間取りの優先度を確認し、大丈夫と判断できたら、ぜひ、個性的でおしゃれな坪庭作りを行って下さい!