自由な家造りが可能な注文住宅。
間取りに様々なものを取り入れたいという方も多いのではないでしょうか?
その中でも、昔から根強い人気のある間取りが「吹き抜け」です。
今回は吹き抜けのメリット、デメリットについてご紹介します。
建築時の注意点もありますが、住み始めてから失敗や後悔と感じてしまう恐れのある間取りでもあります。
メリットとデメリットのバランスを考慮し、適切な対処法を知り、失敗や後悔しない注文住宅を目指しましょう。
目次
吹き抜けとは?
吹き抜けとは、1階部分と2階部分が1つなぎになっており、床が全くない空間のことです。
大企業のオフィスや、ホテルのフロントのような作りをイメージしていただけると分かりやすいと思います。
昔は施工技術の問題もあり、大規模な建造物にしか取り入れることはできませんでした。
しかし、耐震性や耐久性、丈夫な素材の開発など、メーカーの努力によって一般住宅にも取り付けることができるようになりました。
ただし、吹き抜けにはメリットもあればデメリットもあります。
それぞれをしっかりと把握することが失敗や後悔を最小限に抑える理由となるので、ぜひ参考にしてください。
吹き抜けのメリットは7つ!
1.開放感
吹き抜け最大のメリットは開放感を演出できることです。
部屋を広く感じるために必要なことの1つに、天井を高くすることが挙げられます。
通常は天井がある部分が2階まで突き抜ける形状をしているので、敷地が狭くとも開放感を感じることができます。
階段や照明、換気設備もインテリアとして活用することができる点も魅力です。
また、ソファーやリビングでくつろいでいるときも通常の間取り以上に広さを実感することができます。
2.狭小住宅や平屋と相性がいい
狭小住宅や平屋の場合、リビングに十分な広さを確保できないことが多いです。
しかし、吹き抜けを組み合わせることで面積が狭くても、面積以上に広さを感じられる作りにすることが可能です。
箱が小さな分、耐震性や耐久性もしっかりさせることが出来るのでおススメです。
また、狭小住宅で2階建てにする場合は、階段を設置する必要があります。
この際も、階段を独立させずに、リビング内に設置するなどの応用を効かせることができます。
そのため、結果的なコストダウンや住宅性能の強化にもつながるため、非常に相性がいいと言えます。
3.人の気配が感じられる
吹き抜けは音や空気の流れが非常に良いです。
なので、1階にいても2階の様子が分かったり、2階にいても1階に人の気配を感じることができます。
部屋の中で一人でいるのはどうしても寂しいものです。
吹き抜けを取りつければ、いつでも家族の気配を感じることができるため、安心できるようになります。
4.デザイン性が高い
シンプルなメリットですが、吹き抜けはやっぱりおしゃれです。
開放感を演出するだけでなく、階段や大きな窓、広々としたキッチンとの相性も抜群です。
壁に飾り棚を設置することで部屋のいたるところをコーディネートすることもできます。
また、天井が低い家では腰の低い家具を選んだり、限られたカラーバランスの中から合うものを選んだりと選択の幅が少なくなってしまいます。
一方で、吹き抜けは家具の高さや色合いを気にせず、好み通りにカスタマイズすることができます。
リビングの面積を広めにとって、リビング内でダイニングとリラクゼーションスペースを独立させることもできます。
さらに、家具の配置も自由に決めることができるので、模様替えもしやすく、自分好みの空間を創りやすいです。
5.リビング階段もおしゃれ
2階建てにする場合、リビング階段との相性が非常にいいため、安くておしゃれな空間を創り上げることができます。
リビングから2階へ直結するような設計になるので、動線も短くなり、家の中での動きがスムーズになるメリットもあります。
リビング階段には様々な種類がありますが、吹き抜けと相性が抜群にいいのはスケルトン階段です。
階段の板部分をすべてはめ込むのではなく、踏板部分だけにすることで光を部屋の隅々まで届けることができるようになります。
昼と夜など、光のあたり具合によって表情が変わるので、非常におしゃれでおススメできるアイテムの1つです。
6.採光が得られやすい
大きな窓を設置したり、小窓を複数取り込むことで、太陽の光を部屋の中に届けやすくなる特徴もあります。
冬は非常に温かくなるので、外に出なくとも日向ぼっこができるようになります。
また、小さなお子様がいるご家庭では、すくすくと発育をするために太陽の光に充てたいという方も多いのではないでしょうか。
外に出ると花粉などのアレルギーや事故など危険が伴いますが、吹き抜けにすれば部屋の中で太陽の光に当たることができます。
また、目を離していても危険な目に遭ってしまう確率をものすごく低くすることができます。
さらに採光の良さは照明器具を使う頻度が最小限に抑えられるため、昼間に電気をつけなくていいので、省エネにも繋がります。
7.通気性がよい
縦に広い空間が広がるため、空気の流れが非常にいいことも特徴です。
通常の間取りの場合、窓の大きさや場所を工夫して通気性の高さを維持する必要があります。
しかし、吹き抜けの場合は部屋の隅々まで空気が届く構造になるので、細かな窓の位置や換気設備を計算する必要がなくなります。
そのため、部屋作りも非常にシンプルでイメージがしやすいというメリットがあります。
吹き抜けのデメリットは6つ!
魅力的なメリットの多い吹き抜けですが、設置の前に必ず把握しておかなければならないデメリットがあります。
これらを考慮せずに設置をしてしまうと、失敗や後悔に繋がってしまうので、しっかりと把握して適切な対処を行えるようにしておきましょう。
1.光熱費、コストがかかる
吹き抜け最大のデメリットはここです。光熱費は通常の間取りと比べても非常に高いです。
照明で使用する光熱費を削減することが出来ても、問題になるのは冷暖房費です。
温かい空気は上へ、冷たい空気は下へと流れていく傾向にあります。
そのため、冬の暖房代が非常に高くなるのです。
ずっとつけっぱなしにしておいてもなかなか温まらないという状態になるので、せっかくのくつろぎスペースも台無しになってしまいます。
その対策として床暖房を設置することが多いのですが、この設置費用も非常に高いのです。
なので、予算のゆとりと将来的な収支のバランスをしっかり考慮しておくことが大切です。
また、大きな窓などにより採光が良くなりすぎてしまうため、夏は非常に暑いです。
さらに空間が広いので冷えにくくなってしまいます。
なので、夏と冬の光熱費が非常に高くなることを想定しておく必要があります。
2.掃除やメンテナンスが大変
吹き抜けで大変になるのが、掃除やメンテナンスです。
柵を取り付けたり、梯子をかけたりしておかないと、汚れたときの掃除が非常に大変になります。
また、2階部分では安全性も確保しないと落下してしまう危険性があります。
窓や階段などは特に汚れは付着しやすく、さらに目立つため、細かなお手入れが苦手な方は避けた方がいいかもしれません。
3.2階が狭くなる
本来、床を作って部屋や廊下のスペースにする部分を空間として活用するため、2階のスペースが非常に狭くなります。
子供部屋を作りたい、書斎がほしい、寝室を分けたいなどの要望がある場合はあまりおすすめできません。
これらを取り入れようとすると、非常に広い敷地が必要となるため、土地の価格も高くなり、結果的に予算オーバーにも繋がりかねません。
リビングで過ごすことを第一とした設計でないと、後悔や失敗と感じやすくなってしまうので注意してください。
4.臭いや音漏れがひどい
臭いは上に上がっていき、音は全体に広がっていきます。
そのため、部屋のどこかで臭いが発生したり、大きな音が出ると家中に充満する結果となってしまいます。
特に水回り関係は古くなってくると音も臭いも発するようになるため注意が必要です。
臭いの対策としては換気設備、音の対策としては寝室や静かにしたいエリアを遠くに設置して扉をつけるなどがありますが、
吹き抜けの大空間の中ではあまり効果は得られないので、臭いや音がなるべく出ない生活を心がける必要が出てきます。
5.強度
柱を入れて強度を増すべきところを吹き抜けにするため、通常の間取りと比べて強度は低くなってしまいます。
特に今の日本は自然災害が多く起こっています。地震や台風、洪水など様々な警戒が必要になるため、これらが心配な方は避けた方がいいでしょう。
天井の形状にもよりますが、雨の音や風の音が家の中まで響くこともあるため、それらに敏感な方もあまりおすすめできません。
6.プライバシー
広い空間に大きな窓は非常に魅力的ですが、中から見えるということは、外からも見えるということです。
特に住宅密集地の場合、近隣の目が気になるというケースが非常に多いです。
せっかく大きな窓をつけても、外が気になって開けられず、後悔してしまうケースもあります。
このような事態を防ぐためには、窓のバランスを考える必要があります。
例えば、外から見える人の視線の部分を壁にするなど対処法はありますが、その分、複雑な作りになるため設置コストが高くなるデメリットがあります。
一長一短の吹き抜け、魅力を感じ、適切な対処をすることが重要
吹き抜けにはメリット、デメリットがともにあり、魅力的に感じる部分もありますが、その分、問題も多く発生します。
そのため、バランスをとることと、デメリットに適切な対処法を講じておくことが必要になります。
吹き抜けのメリット
- 開放感
- 狭小住宅や平屋と相性がいい
- 人の気配が感じられる
- デザイン性が高い
- リビング階段もおしゃれ
- 採光が得られやすい
- 通気性がよい
吹き抜けのメリット
- 光熱費がかかる
- 掃除やメンテナンスが大変
- 2階が狭くなる
- 臭いや音漏れがひどい
- 強度
- プライバシー
建て終わった後で変更するには非常にコストがかかるので、打ち合わせて工事が始まる前に、必ず一度立ち止まって、本当に必要かどうか?
デメリットに対して対処ができるかを考える必要があります。
とは言っても、非常に魅力的な間取りであることは間違いないので、じっくり検討することをおススメします。