ハウスメーカーにより、取り入れている工法は異なります。
しかし、言葉だけを聞いても
「いったいどんな特徴があるの?」
「工法のメリット・デメリットは?」
となかなかわからない部分もあると思います。
そこで今回は、それぞれの工法の特徴とメリット・デメリットについてご紹介します。
希望とマッチする特徴の工法を選んだり、一番重要な部分と妥協していい部分が適している工法を選んだりする参考にしていただけたらと思います。
目次
在来軸組工法の特徴とメリット、デメリット
多くのハウスメーカーや工務店が用いている工法です。
昔から使われており、建築業界では長年の実績があるため、「伝統工法」と呼ばれることもあります。2×4工法とは異なり、設計上の制約が少ないことが特徴の1つです。
その上、出来上がりの見栄えは他の工法とほとんど差がありません。
木材をふんだんに使用し、ハンドメイドで作り上げる工法だからこそ、日本の気候に非常に適しており、快適性、環境性が高い特徴があります。
制約があっても、設計の自由が高いため、リフォームや増改築もしやすく、様々な予算に対応できる強みがあります。
一方で、耐火性、耐震性には不安を覚える声も聞かれます。
しかし、これらへの対応も法改正を経て向上しているため、安心して生活を送ることができる工法であるといえます。
メリット
- 間取りの自由度が高い
- 湿度の高い気候に適している
- 人体にも環境にも優しい
- 地域密着の工務店の多くが採用しており、施工会社が多い
- 予算や土地による制約にも対応できる
- 使用できる材木の種類が豊富
- リフォームや増築がしやすい
- 真壁造りを採用することで、本来持っている調質効果も可能
デメリット
- 職人の腕の差が出る
- 職人の手間料が高い
- 耐震性能は問題ないが、地震による揺れは大きい(金物、筋交い、耐力壁の使い方に十分な配慮が必要)
- 工期が長い
- 防火地域、準防火地域では、耐火構造を行う必要があるため、コストが増える
- 高断熱、高気密、遮音性を上げるためには工夫とコストが必要
枠組壁工法(2×4工法)の特徴とメリット、デメリット
在来軸組工法と並ぶとても有名な工法です。
日本で在来軸工法が広く取り扱われているのに対し、イギリスやアメリカ、欧米やカナダでは枠組壁工法が木造住宅の標準的な工法として取り扱われています。
角材で枠を作り、そこに釘で板を貼り付け、組み立てていくというシンプルな工法です。
この工法の2×4とは角材の大きさのことで、他にも2×6、2×8、2×10などがあります。
在来軸組工法と比べて湿度対策が必要になりますが、高断熱、高気密の住宅を造ることができます。
木造建築ですが、耐震性の高さは過去の大地震での建設物被害状況からも非常に評価を受けています。
しかし、ハウスメーカーが中心となっているため、費用は在来軸組工法と比べ高い場合が多く、鉄骨工法や鉄筋コンクリート工法と比べて耐火性で劣ると言われています。
また、壁で支える手法が取られているため、リフォームや増改築がしにくいです。
メリット
- 組み立て式なので職人の腕に依存せず、安定して品質の高い住宅が建てられる
- 気密性、耐震性に優れている
- 木材の密接度が高いことにより、防火性・断熱性が高い
- 空調管理が手軽にでき、省エネ効果も
- 工期が短く、諸費用(仮住まいの家賃など)を抑えることができる
デメリット
- 間取りの自由度が低い、変更しづらい
- パネルで面が構成されているため、木材を露出させたデザインができない
- 木材が露出していないため、木材による調湿が不可
- 大手ハウスメーカーでないと対応できない工法
- 気密性が高いことで、湿度の高い地域では腐食やカビが生える可能性も
- 小規模工務店では技術力、知識が乏しい場合も
- リフォーム、増築がしにくい
木質パネル工法の特徴とメリット、デメリット
工場で合板と接着剤を用いて床や天井、壁などの部分を生産し、現場に運んで組み立てる工法です。
枠組壁工法と同じ仕組みで壁で住宅を支える工法ですが、枠組壁工法よりも工場で生産する部分が多いため、現場での手間が削減できます。
規格化されている工場製品部分が多いため、品質が安定しており、職人の技術に左右されにくいです。
高気密、耐震性、耐火性に優れた住宅を造ることは出来るが、高湿度に適応しきれない欠点もあります。
価格としては安定していますが、合板や接着剤を多く使っているため、環境性に難があることと、設計自由度が低く、リフォームや増改築がしづらいです。
メリット
- 職人の技術に左右されず、安定した品質の住宅が建てられる
- 工場生産により、品質が一定基準を満たしている
- 現場の作業が非常に少なく、工期が短い
デメリット
- 間取りの自由度が低い
- 部品が大きいため、狭小地、変形地への建設が難しく施工要件に制約が多い
- 湿気による内部結露、腐食、カビが生える場合も
- リフォームや増築がしにくい
- 合板、接着剤を使用しているため、アレルギー等が気になる方には不向き
軽量鉄骨工法の特徴とメリット、デメリット
軽量鉄骨(肉厚6mm未満)を柱や梁など、主要部分の構造に用いて建設する工法です。
軸組や筋交い、工場で溶接をして現場で組み立てるユニット工法など、様々な方法があります。
大手ハウスメーカーが鉄骨を用いて行う建設の中では、圧倒的に数が多く、競争が激しい工法でもあります。
鉄筋を用いることで、耐久性、耐震性の高さがウリの住宅が出来上がります。
一方で、高湿度に適応できず、内部結露が発生しやすいため防錆加工が必要であったり、鉄筋の厚が薄いために耐火性が低くなったり、設計自由度が非常に低いという難点もあります。
メリット
- コストが抑えられ、工期が短い
- 大手ハウスメーカーが多いため、安定感のある住宅に
- 強度が強く、構造を小さくすることができる
- 品質が高く、安定している
デメリット
- 熱が伝わりやすく、内部結露を起こしやすい
- 防錆処理が必要
- 耐火性が低い
- 快適性、住み心地は木造に比べて劣る
重量鉄骨工法の特徴とメリット、デメリット
重量鉄骨(肉厚9mmや12mmが一般的。基本的には6mm以上のものを指す)を柱や梁など、主要部分の構造に用いて建設する工法です。
柱と梁を接合して強度を高めてラーメン工法、工場で溶接まで行い現場で組み立てるユニット工法があります。
耐火性、耐久性、耐震性に優れており、増改築も手軽に行うことができます。
しかし、軽量鉄骨工法同様に内部結露や錆対策が必要になること、費用が割高になるという点もあります。
特に、敷地面積が狭いとかなり割高な物件となってしまいます。
メリット
- 強度が高いので、耐震性、耐久性に優れている
- 大空間、大開口が可能
- 品質が安定している
- 柱が少なく、空間設計の自由度が高い
- 快適性、住み心地がよい
デメリット
- 内部結露、錆に対する対策が必要
- 鉄骨を支えられる強い地盤が必要
- 基礎工事のコストが高め
- 建物自体のコストも高い
鉄筋コンクリート工法(RC造)の特徴とメリット、デメリット
圧縮に弱く引っ張りに強い鉄と、圧縮に強く引っ張りに弱いコンクリートの相互の超短所を補い合うことで強度と耐久性を工場させた工法。
ラーメン工法、壁式工法の2種類があります。
ラーメン構造では一定以上の施工面積が必要で、壁式工法の方が施工条件に幅がある。
しかし、壁式工法では壁ががっちり建設されるため、リフォームや増改築がとてもしにくい傾向にあります。
耐火性、耐久性、耐震性では他の工法を圧倒しています。
設計自由度も非常に高く、高気密、高断熱住宅を可能としています。
しかし、自然素材の使用が少ないため、自然を好む人には向いておらず、コストが非常に高いことが難点です。
メリット
- 防火構造になっており、耐火性が高い
- 耐久性、耐震性、防音性が高い
- 設計の自由度が高く、変形地、狭小地への建設も可能
- 重量鉄骨工法より間取りの自由度が高い
デメリット
- コストが非常に高く、工期も長い
- 断熱グレードは一定以上必要(下げてしまうと夏は暑く、冬は寒い住宅)
- 解体費用が非常に高い
- 建物の重さを支えられる、非常にしっかりと地盤、基礎工事が必要
希望の工法から業者・間取り・土地を決めるには?
様々な工法が用いられ、それぞれにメリット、デメリットがありますが、好みと予算に応じて工法から業者を選ぶことも失敗しない業者選びの1つでもあります。
工法は言葉だけ見てもその意味をしっかりと理解している一般の方は非常に少ないです。
木の良さを感じたい、耐久性や耐震性が高いほうがいい、コストを抑えたいなど、様々な希望があり、人それぞれ何に重点を置くかは異なります。
特に、アレルギー体質の方は接着剤を多用する工法には敏感に反応してしまう可能性があるため、注意が必要です。
木造だから耐火性が低いというわけではなく、一定上の耐火性は確保されていますし、耐震性、耐久性にも同様のことが言えます。
そのことも踏まえた上で、より、安心でき、納得できる工法を取り扱っている業者に間取り図作成と土地探しを依頼するようにしましょう。
工法から最適な業者を選び、理想のマイホームを作ろう
工法はどの工法がよく、どの工法が悪いと一概にいえないところに難しさがあります。
しかし、自分の希望と工法のメリットがマッチしている場合は、その工法にするようにしましょう。
また、デメリットの部分が気になる場合は、その工法は避けたほうがよいでしょう。
- 使用素材
- 使用剤
- コスト
- 耐久性、耐火性、耐震性
- 断熱性
- 気密性
- 品質の安定度
など、様々な部分で違いが生まれるため、業者はしっかりと選定するようにしましょう。
特に断熱性能は、月々の光熱費に影響する部分ですので、外断熱や高断熱などの工法を扱っている業者選びが必要です。
どの業者がどの工法で家を建築しているのか?事前に把握しておくことをオススメします!